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そして、サラッと言っていたけれど、この目の前で飄々と、ペンを鼻と口の間に挟んで遊ぶ再従兄は、実は相当な実力者らしい。
とてもそうは見えないけれど。
「五本の指には他に誰がいるの」
「一番が月白さまでしょー。
二番は青藍だね、でもたまに反発するから、三番の紫苑のが覚えはめでたいね、優等生だからさ。
で、四番目が僕でー。
ずっと欠番だった五番を、今さくちゃんとクコの実が取り合ってるの」
「……それは知らなかったわ」
どう考えても自分がその五本の指に入れるわけがないと、桜子は深々とため息をついた。
そもそも、鬼って何人いるのよ。
「うーん難しい質問だねぇ。
鬼火が出せるって点で絞ったら、100はいないかな。
でも、鬼の流れを汲む……なんてことになると、日本の人口の約十分の一ってとこかな」
「はぁ!?」
「ね、面白いでしょ?
十人に一人は鬼の血が流れているんだよ。まぁ、それを知っているのはごく限られた人達だけだけどね。
みんなもう鬼の力なんて使えないしさ、それでも第六感とかが鋭い人は、鬼の血が濃くでたパターンだろうね」
「……日本以外は?」
「あぁ、それはよく分かんない。
日本の月の鬼はね、鬼のなかでも鬼を管理する立場にいたから、巻物とか沢山のこしてるんだよ。
それで、今も支配する立場にいるから、その文献も残ってるわけ。
でも、他の場所だとその立場がコロコロ変わって、挙げ句のはてに文献の書き換えとかも行われてるから、なにがなにやらって感じかなー」
「……へぇ」
もうなにが何やら、色々詰め込まれ過ぎた桜子の反応は鈍い。
「さぁ!頑張ろう!
こんなとき、寝なくてもごはん食べなくても生きていけるのは便利でしょ?」
「……休憩の口実がなくて不便よ」
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