第5章

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「桜花の蒼は月の鬼の終わりと始まりの知らせ」 「えっ?」 「言い伝えだ。 だからこそ、月白さまはお前を遠ざけたがる」 意味が分からないと顔をしかめる桜子の、まだフワフワと宙を漂う髪を、青藍の長い指が絡めとる。 「衰退し消えさるまえに、一度根から壊さなければいけない。 しかし、それは月白さまが今まで守って来たものを壊すことをさす」 だからこそ、お前は驚異なんだ。 月の鬼の破壊と再生を司るのが、桜花の蒼だ。 「破壊と……再生……」 そんな大それたことが桜子に出来るわけがない。 それなのに、そんな言い伝えのせいで、桜子は実の祖父から疎まれているのか。 おじいさま、と呼ぶことすら厭われているのか。 「……ばっかみたい」 「なぜ、俺たちの名前が色から来ているか知っているか?」 話をそらす為なのか、それとも今の話の続きなのか、青藍が淡々と言葉を紡ぐ。
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