第5章

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「俺たちは鬼火をまとって産まれてくる。 その時の鬼火の色に因んだ名前をつけるんだ」 「私も……」 産まれてたときは鬼火なんてものをまとっていたのだろうか。 それなら、お母さんはいったいどこで私を産んだんだろう。 人間の病院で、桜色の鬼火をまとった子供が産まれたら、きっと大騒ぎになる。 「自宅出産だ」 「……なんで知ってるのよ」 「産まれてすぐのお前を、俺は抱いている」 「は?」 「月白さまの使いでな。祝いを届けた」 「……嘘」 縁は切っていた筈だ。 「嘘じゃない。ただ……」 「はっきり言いなさいよ」 「お前の髪と瞳の色を知った月白さまは、お前から距離をとることを選んだ」 「……そう」 それなのに、今さら引き取る気になった理由はなんなのだろう。 桜子の面白くなさそうな顔を見ながら、青藍が言葉を続ける。 「蒼子さまは、本当に幸せそうだった。 衰弱しながらも、小さなお前を抱いて、産まれてきてくれてありがとうと、微笑んでいた」
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