第5章

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「そもそも、これがお前の言う『魔法』なのかも分からない」 「……触らないでベッド動かしたんだけど」 「魔法ってなんなんだ?」 「えーっと……普通ではできないこと?」 「じゃあ、普通ってなんだ? 俺たちは生まれたときから、これが普通だ」 混乱してきた頭を抱えていると、また青藍が笑う気配がする。 なぜか振り向かせては貰えないけれど。 「ねぇ、紅子ってどんな人」 どんな鬼?とは、なんとなく聞きづらかった。 鬼、と言葉に出すことに、ささやかな抵抗がついてまわる。 その抵抗が桜子には不思議だった。 もう、鬼を拒否するつもりはないのに。 「さぁな、俺も直接話したことはない」 急に声がひんやりとして、その場の空気がピリッとした。 桜子は、自分で聞いておきながら早速後悔していた。 青藍のまとう雰囲気が、重々しく冷たいものへと変わっていく。
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