第5章

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「どうした、疲れたか?」 急に難しい顔をして黙り込んだ桜子にかける、青藍の声色は優しい。 顔は、いつもと変わらぬ無表情なのに、その声の暖かさが桜子には辛かった。 「うん、ちょっと休みたい」 「そうだな。今日はこれくらいにするか」 桜子の微妙な表情を気がついてはいるようだが、それに首を突っ込む気はないらしい。 いつの間にかベッドの端に掛けられていたジャケットを手に取った青藍は、もう切り上げるつもりのようだ。 「ねぇ」 「なんだ?」 ドアから出ていこうとする背中に、桜子の少し緊張した声が掛けられる。 「青藍にとって、お母さんってなに?」
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