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「まぁ、僕は諦めないけどね」
さくちゃんを僕のものにするために、月白になってやるから。
やや屈折した光を灯す常葉の瞳は、怪しくも美しい。
決意の色がチラチラとその影に踊る。
「お兄ちゃんでいいじゃん」
「やだよ。さくちゃんの懐に入れるならそれもいいけど、それって恋愛対象外だって言われてるようなものだよね?」
「まぁ、そうなるわね」
「うわー」
笑いながら抱き締めてくれる腕は、全て亡くしたと思った肉親のぬくもり。
桜子にとって、それがどれだけ大切でかけがえのないものなのか、常葉にはわからないだろう。
「でもさ、余計に負けらんないよね」
青藍の隣に、紅子が並ぶことになったら嫌でしょ。
常葉の言葉に、直ぐに反応して疼く胸の痛みに、桜子はまた涙をこぼした。
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