SCN-1398 スピカ・リスナー

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第3回のアニバーサリーは翌日、滞り無く行なわれた。 前日のリハーサルとも呼べる段階を踏み、レグルス・リオル様の複製(レプリカ)が再び壇上へと上がられた。 当のレグルス様、もとい、ユーゼルさんはと言うと、あの後死んだ様に本部の処置室で眠り続け、次に目を覚ましたのは3日後だった。 あたしはその間、1日も欠かさず彼の元へと通い詰めた。 早く目を覚まして欲しいと思う一心で、ユーゼルさんを見つめ、不安を抱えて過ごした。 そんなあたしの心配を余所に、目覚めたユーゼルさんの第一声はこうだった。 「…はぁ。よく寝た」 彼を見つめ、呆れて笑ったのを覚えている。 あの日から半年が過ぎた。 R・スピリットの体制は著しく変わり、まず国の統括者に、レグルス・リオル様の複製(レプリカ)である、あのブロンドの彼が任命された。 気の毒な話だが、アンドロイドで有りながら、彼は人間の振りをする事を義務付けられた。 そしてあの日の言葉通り、E.Sという職業は完全に廃止され、元E.Sはそれぞれが得意とする分野の職種へ割り振られた。
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