SCN-008 ユーゼル・アスワン

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「…だから、その。あんまり情を持たれても、ずっと一緒には居られないし。急に俺が居なくなったら、スピカは悲しむだろ?」 残される者の気持ちは痛い程分かる。だからこそシビアかもしれないが、俺は彼らと距離を置くべきなんだ。 スピカは考えた事も無かった、と言いたげな瞳で絶句していた。 不安一色を浮かべ、ともすればブンブンと首を横に振る。 「それでも、構いません! それに、情、とか。今さら遅いです。 だってあたしは、もうユーゼルさんの事が大好きですから!」 俺は真顔でスピカを見ていた。二、三度瞬きを繰り返す。 スピカは胸の前で両手を握り締め、真剣な目をしていた。 …大好き、と言うワードは。 多分俺の記憶が正しければ、過去、あの母親に言われたきり誰からも聞いた事が無い。 「…ありがとう」 しんみりと、それでいて僅かに胸の内が温まる気配がした。 スピカは小さく頷き、急に俺へと抱きついた。 「…レグルス様だから、じゃ有りません。 あたしにとってはユーゼルさんだから、大好きだし、大切なんです。 だから。ずっと側に居たいんです。駄目ですか?」 顔を上げたスピカに、ふとドキリとした。
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