Another side ③ 内なる人格

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…それは一体どういう事ですか? 『…ロード・レアモン。貴方は純粋で真面目すぎる。 貴方はただ一心に主人(あるじ)を思い、心を尽くしているのに何故‘それ’を押し留めるのです?』 …それ、と言うのは? 『主人(あるじ)を独り占めしたい独占欲です。 貴方は真面目で我慢し過ぎるから、心が辛くなるのです。 本当は今もふつふつと、業を煮やしていると言うのに…欲望のままに解放させなくて宜しいのですか?』 私はそこで目の覚める思いがした。顔を上げる。 欲望を解放する…? その意味を思い、幾らか狼狽する。 ‘内なる声’は尚も私に語り掛ける。 『ええ、ええ。 私は知っていますとも。貴方が誰を一番(うと)んでいるのかを…』 …それは。 私はふと立ち上がり、室内から廊下へ移動する。 あの方がいつもいらっしゃる場所、ガラス張りのAIラボラトリーを視界に入れる。 …ああ、我が主人(あるじ)。レグルス・リオル様。 そのお姿を拝見するだけで何と心が癒される事か。 しかし、そう思うのも束の間。私は反射的に眉をひそめた。 『貴方の主人(あるじ)を独占しているのは、あの男でしょう? コードナンバー008.ユーゼル・アスワン』 不意に図星を突かれ、グッと奥歯を噛み締める。
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