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私は周囲を見渡し、立ち上がる。
‘内なる声’はその日を境に忽然と消え、数日を経るまでは再度語り掛ける事は無かった。
*
…ああ、苛々する。
どうしてこうも心が騒つくのか。
理由は自分自身がよく理解していた。やはりあの男が目障りなのだ。
私は背もたれに体を預け、無意識から目の前の機器を睨み付けていた。意図せず両手に力がこもる。
---…BOM…!!
ーーなに…ッ!??
突如立ち上る小さなスモーク。
私は息を呑み、唖然とその機器を見つめていた。
…今。一体なにが?
目の前の機械が突然爆発した。
怪訝に思いながら、機械を確認するが特にこれと言った異常は見られない。
「…どうして」
呟きを漏らした直後、どうした? と傍よりお声が掛かる。
「ロード。何か有ったか…?」
「…レグルス様」
私は一瞬にして黒い感情が消え去るのを感じた。
それでも、不審な目をする主人に居た堪れぬ思いが湧き、事情を説明する。
「…急に爆発? そうか…」
レグルス様は私と同様に機器を調べるのだが、原因が分からず首を捻っていた。
「仕方ない。修理は俺がしておこう」
「…も、申し訳ありません」
どうしてこうなったのか理解は出来なかったが、私は頭を下げていた。
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