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「…プログラムの異変か何かだろう。ロードのせいじゃない。気にするな」
そう言って、フッと微笑を浮かべ去って行かれる。
…心が軽くなる。あの方の微笑み一つで。
自然とそう思っていた。
再び室内で一人になると、私は腰を下ろし溜め息をついた。
『今の爆発に余程驚いたようですね』
「…ッ!!?」
私は息を潜め、瞬きを繰り返していた。
『アレは貴方がやったのですよ? 貴方自身の黒い感情が』
…どういう、意味ですか?
‘内なる声’に責められ、急に後ろ暗い気持ちに襲われる。
『元より、貴方には物を破壊する力が備わっているのです。
貴方の邪心が大きくなるにつれ、その力も強靭になる』
…破壊の、能力?
『そう。その力を持ってして、貴方は貴方の欲望を解き放てば良いのです。
邪心からの爆破一つで、あの憎き男は滅する。
そして…貴方の主人は貴方に目を掛ける』
私は僅かに口元を緩めた。
…けれど。そう上手く行くとは思えません。
『大丈夫。貴方のお立場が悪くならない様、筋書きは私が考えます。
貴方の主人、レグルス・リオル様を手に入れるのです』
甘い誘惑とも取れる言葉。
私は‘内なる声’にまんまと乗せらせ、その後行動を起こすのだった。
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