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あの爆破事故から、2年9ヶ月の月日が流れていた。
私の強靭過ぎる力は主人をも傷付けた。
けれど、‘内なる声’はそれで良いと笑いを含んで言った。
『貴方自身に恩義を感じれば、貴方の主人は貴方だけを見てくれます。
そして裏切りが有ったと主人に告げるのです。
貴方と主人の敵はコードナンバー008.。その言葉を植え付けるのです』
私は‘内なる声’に従い、その通りにした。
昏睡状態から目覚められたレグルス様は、不審な目を向けていらしたが。
私が疑われる事は無かった。
*
…おかしい。
私は診療所に置いた椅子に腰掛けながら、頭を抱えていた。
最近、記憶が飛び飛びになっている。分析システムを作動させても、欠けた記憶を修復出来ない。
更には刑務所に勤める別の役人に覚えの無い行動を指摘され、絶句した事も有った。
どう考えてもおかしい…。
一瞬、エゾンに感染しているせいかと思い、診療所で検査するのだが、結果は至って正常。
自身の感知せぬ行動にただ頭を抱える他無い。
…‘内なる声’よ。あなたは何か知っていますか?
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