Another side ③ 内なる人格

8/13
前へ
/527ページ
次へ
* あの爆破事故から、2年9ヶ月の月日が流れていた。 私の強靭過ぎる力は主人(あるじ)をも傷付けた。 けれど、‘内なる声’はそれで良いと笑いを含んで言った。 『貴方自身に恩義を感じれば、貴方の主人(あるじ)は貴方だけを見てくれます。 そして裏切りが有ったと主人(あるじ)に告げるのです。 貴方と主人(あるじ)の敵はコードナンバー008.。その言葉を植え付けるのです』 私は‘内なる声’に従い、その通りにした。 昏睡状態から目覚められたレグルス様は、不審な目を向けていらしたが。 私が疑われる事は無かった。 * …おかしい。 私は診療所(クリニック)に置いた椅子に腰掛けながら、頭を抱えていた。 最近、記憶が飛び飛びになっている。分析システムを作動させても、欠けた記憶を修復出来ない。 更には刑務所(プリズン)に勤める別の役人に覚えの無い行動を指摘され、絶句した事も有った。 どう考えてもおかしい…。 一瞬、エゾンに感染しているせいかと思い、診療所(クリニック)で検査するのだが、結果は至って正常。 自身の感知せぬ行動にただ頭を抱える他無い。 …‘内なる声’よ。あなたは何か知っていますか?
/527ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加