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私は両手を組み、自分の内部に話し掛けてみた。
しかしながら、返事は無い。
最近になってから気付いた事だが、声は一方的に語り掛けるのみで、こちらからの発信には応えてくれない。
私は溜め息を浮かべた。
我が主人、レグルス・リオル様を想う。
昏睡状態から無事回復され、ようやく私だけの側に居てくれる様になったのに。
レグルス様は国に蔓延するエゾンウイルスの対応に追われ、遂にはE.Sとなられた。
それどころか、アンドロイド専用の職種の為、私の憎き相手の名を語っていらっしゃる。
どうにも解せない。
それにE.Sのパートナーとして組まされた、スピカ・リスナー。
私はあの少女にも快い感情を持ち合わせてはいなかった。
あのお方の正体を知らず、‘ユーゼル’として接し、その態度も馴れ馴れしい。
只々黒い感情を大きくするばかりだ。
つい先日、レグルス様はあの能力をスピカ・リスナーに話していると仰られた。
エゾンに対する調査を進め、感染者を一時刑務所に拘留し、ラスト・ステージへと育てたい。そう提案されていたが。
私は‘内なる声’に従い、断固として反対の意思を述べた。
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