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『抜け落ちた記憶に関しても、貴方の主人がきっと解決してくれますよ?』
‘内なる声’は嫌な嗤いを含み、私の問いには答えずにただ一方的に話し続けた。
『…変だと。ずっとお思いでしたよね?
けれど、貴方は内部に私を抱え込んだ罪悪感から一番に信頼を寄せる貴方の主人、レグルス・リオル様に相談事など到底出来なかった。
それが貴方を破滅させる結果となったのです』
…破滅??
私は眉をひそめた。狼狽えた。
『そうです。エゾンウイルスが流行し、貴方の主人を…。彼の姿形を知る動体は最早貴方と008.だけになった。
つまり、貴方と008.さえ消えてなくなれば貴方の主人は孤立無援。
全ては私の思い通りに事が運んでいるというのに貴方は気付きもしない』
…私と008.が消えて無くなる?
‘内なる声’、あなたは一体…?
『つい先日、008.がデータ放送でオーバーフローの感染期間を20日と発表したのを覚えていますか?
あの放送を聞いた貴方の主人は、Jr.と名乗る008.に対して不信感を抱く様になりました。
何故なら感染期間を知り得るのは唯一エゾンウイルスの親元である‘MOTHER’しかあり得ないからです』
…そ。それなら、008.がその親元だと?
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