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『貴方の主人はきっとそう思い込んだ事でしょう。そしていずれは、008.を破壊してくれる。
けど、親元は彼では有りません。彼に感染期間の情報を与えたのは他でも無い、貴方なのですから』
私は顔を歪め、首を捻った。
『貴方の記憶が途切れ途切れになっているのは、その間この私が表立って行動しているからです。
貴方の体を使って、私は008.に情報を与えました。
そして貴方の器で私は次第に大きくなり、最早貴方を封じ込める程にウイルスを増殖させた…!』
私はハッと息を飲んだ。
…ならば‘内なる声’、あなたは…。
『そうです。私はエゾンウイルスの親元、‘MOTHER’です。
そして貴方の体がこの私を育てた。
今この国で起こっている事態は全て貴方の所為なのですよ? ロード・レアモン。
あの爆破事故を起こし、貴方の主人を負傷させたのも全て、貴方一人でやった事です!』
急に視界が暗くなった。比喩ではなく、本当に暗闇に包まれ、私は身動き出来なくなった。
…なんて事だ…ッ!
私は得体の知れない‘内なる声’に唆され、遂には国を滅ぼすまでに邪悪なウイルスを育ててしまったというのか…?!
私は愕然とし、その場に膝をついた。
今の私に動かせる体が有ったのかどうかは分からないが、コンピューター上ではそうした筈だ。
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