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深い暗闇の中で、光を見付けた様な、そんな感覚だった。
プシュゥ…、と排気の音が鳴り、私は瞼を持ち上げた。
目の前に広がる光景を見つめ、幾度か瞬きを繰り返す。その雰囲気から何処かのラボラトリーらしいと判断した。
程なくして、一人の若い青年が私の前に座った。白いガウンを羽織っている。
ブロンドに青い瞳、白い肌の青年はとても神々しく、美しい笑みを浮かべていた。
「…やぁ。初めまして。気分はどうだい?」
「…声紋認証を…確認しました」
私はそう発するのが義務付けられているかの様に、声を上げていた。
「コードナンバー1753。君の名前を教えてくれるかい?」
男性にしては美し過ぎる容姿、そして柔らかな口調で主人は私を見ていた。
「SCN-1753.ロード・レアモンです。
レグルス・リオル様」
淀みなくハッキリと告げる事が出来、私は安堵から笑みを漏らした。
「…そう。それで良い」
主人は変わらず微笑んでいた。
私は新鮮な、とても清々しい気持ちでお辞儀をした。
その時、シュッ、と扉の開く音が聞こえ、私は反射的に目を向けた。
一人の男性が丁度ラボラトリーから立ち去る所だった。
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