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9型のガイアは若干むくれていたが、直ぐに諦めカルマ兄さんや同僚のリズさんにまとわりついていた。
生まれたての赤ん坊同然に純粋で無垢で好奇心旺盛。
そして子供ならではの特徴なのか、あたしに対する執着心が半端ない。
あたしがユーゼルさんと一緒にいると、決まってガイアは彼に突っかかる。
「スピカから離れろ!」の物言いに、ユーゼルさんはニコニコ笑い、「不良品だな」と呟いていた。
ともすれば、記憶の回路というやつを弄られそうなので、とにかくいい子にして欲しいと切に願う。
シューク売り場に佇みながら、あたしはユーゼルさんの事を考えた。
彼は人間なのに未だにアンドロイドの振りをしている。
オリジナルのレグルス様で有りながら、実に自由奔放な振る舞いっぷりだ。
国の事は複製のレグルス様とJr.様に任せ、毎日一つずつやりたい事をこなしているらしい。
「ありがとうございましたー」
一台のシュークが売れ、あたしはお辞儀を返した。
ウキウキと機嫌良く帰って行く女性アンドロイドを見送り、ふぅ、と溜め息が漏れた。
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