SCN-1398 スピカ・リスナー

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ポッカリ暇を持て余す時間が有ると、あたしは仕事中であっても必ずユーゼルさんの事を想ってしまう。 脳の回路がそうインプットしてしまったからか、動体でありながら魂が宿ってしまったからか。 彼を想うこの気持ちが“恋”という特別なものだと自覚するのに、さほど時間はかからなかった。 教えてくれたのはルーサーさんのパートナーであるサラさんだ。 彼女も早くに魂が宿り、ルーサーさんを好きだと気付いたらしい。 その話を聞き、あたしはうっかり溜め息を漏らしそうになった。 彼らは互いに動体同士だからまだ良い。 でもあたしとユーゼルさんは、人型ロボットと人間。 機械の集合体と血の通った生命体。 あたしが一方的に彼を想っていても、ここから何かが変わる事なんて無いけれど。 ただ会いたい時には会えているような、今の穏やかな関係が妙に心地いい。 「お疲れ様でした」 あたしはショップを後にし、逸る気持ちでシュークに乗った。 付属のグリップを握り締めながら、心の赴くままに風を切る。 …あ! やっぱりいたっ! 辿り着いたのは、今まで何度も何度も来た事のある、かつてC-oneラボが建っていたあの場所だ。
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