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ポッカリ暇を持て余す時間が有ると、あたしは仕事中であっても必ずユーゼルさんの事を想ってしまう。
脳の回路がそうインプットしてしまったからか、動体でありながら魂が宿ってしまったからか。
彼を想うこの気持ちが“恋”という特別なものだと自覚するのに、さほど時間はかからなかった。
教えてくれたのはルーサーさんのパートナーであるサラさんだ。
彼女も早くに魂が宿り、ルーサーさんを好きだと気付いたらしい。
その話を聞き、あたしはうっかり溜め息を漏らしそうになった。
彼らは互いに動体同士だからまだ良い。
でもあたしとユーゼルさんは、人型ロボットと人間。
機械の集合体と血の通った生命体。
あたしが一方的に彼を想っていても、ここから何かが変わる事なんて無いけれど。
ただ会いたい時には会えているような、今の穏やかな関係が妙に心地いい。
「お疲れ様でした」
あたしはショップを後にし、逸る気持ちでシュークに乗った。
付属のグリップを握り締めながら、心の赴くままに風を切る。
…あ! やっぱりいたっ!
辿り着いたのは、今まで何度も何度も来た事のある、かつてC-oneラボが建っていたあの場所だ。
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