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ユーゼルさんからの要請で、ふた月ほど前にC-oneラボは別の土地へと移された。
あたしが今いる場所は、霊園墓地だ。
あたし達が動体として生み出される以前、ユーゼルさんと共に研究と製造に勤しんできたかつての仲間が、この地に眠っているらしい。
言ってみれば、彼らはあたし達動体の御先祖様にあたる。
陽の当たる、明るく綺麗な環境下で彼らは眠っているのだ。
不意にユーゼルさんの呟きが聞こえた。ありがとう、と。優しい声だった。
あたしは持っていたシュークをコンパクトに収納し、彼の名を呼んだ。
「ユーゼルさん…!」
黒いガウンのポケットに両手を突っ込んだま、彼は振り返った。
水色の髪が風に揺れる。
顔には複製の彼と間違えられぬよう、今では黒縁眼鏡を掛けている。
レンズの奥に見える彼の青い瞳があたしを捉え、気持ちが高揚するのを感じた。
「…よお。スピカ」
ユーゼルさんがあたしの名を呼んだ。あたしの大好きなあの紳士的な笑みを浮かべて。
* * *
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