48人が本棚に入れています
本棚に追加
/527ページ
それから、P-003にその体を乗っ取られたロード・レアモンだが。
本部のラボを借り、俺が頭脳カプセルを造り、Jr.が彼の人形を造り、複製のレグルスが起動スイッチを入れた。
ロードは彼本来が持ち得る真面目さで、複製のレグルスを慕い、国の為に尽くしてくれるだろう。
ラボを立ち去る間際、俺はロードに一瞥をくれた。
彼の起動が正常に行われるかどうかを確認し、安堵していた。
もう、ロードが以前の様に苦しむ事も無い。
口角を上げ、ニヤリと笑うとそのまま背を向け立ち去った。
彼ら研究員の墓石を見つめ、俺は郷愁の念に駆られていた。
彼らとも色々有ったな、とつい感慨深く思ってしまう。
P-003の行いで、俺のESPがバレてからは数々の裏切りを思い知らされたが。
それまではチームとしてうまくやれていた。
親友のユーゼルや上司のエリサ女史の計らいが大きかったとも言える。
彼ら二人の墓を見つめ、ありがとう、と呟いた。
丁度その時だ。
「…ユーゼルさんっ!」
背後から別名で呼ばれた。墓石の下で眠る彼の名に違いないが、俺が未だに使っている識別チップの登録名だ。
…スピカ。また来たのか。
最初のコメントを投稿しよう!