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俺は彼女を見つめ、ため息をついた。
「あの緑の坊主を迎えに行くんだろう? 良いのか? こんな所で油売ってて」
言いながら彼らの墓に背を向け、踵を返した。
「…む。迎えに行きますよぉ。後で」
声色からスピカがむくれていると感じた。
また後ろから付いて来る。
「どうしても、ユーゼルさんの顔が見たくなって来たんです」
俺は頭を掻き、また嘆息した。後ろの彼女に向き直る。
「…あのな、スピカ。もうE.Sのパートナーは解消したんだから、無理して俺に構う必要も無いんだぞ?」
スピカの今後を心配して言ったつもりだが。
何と無く、マズいと感じた。
スピカは眉を下げ、潤んだ瞳で俺を見ていた。
「…無理じゃ、ありません」
…ああ、やっぱり。
案の定、泣かせてしまった。
困ったな、とまた頭を掻く。
「…ああ、いや。そうじゃ無いんだ」
どう言って宥めたら良いか分からず、正直に話す事にした。
「スピカが心配なんだよ。あんまり俺に関わら無い方が良い」
「…どうして…ですか?」
スピカはこてんと首を傾げた。お決まりの仕草だ。
「俺はキミたちアンドロイドと違って、歳をとるし、長くは生きられない。
変な力を持って生まれた俺は特に。正直いつ死ぬか分からない」
「…え、」
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