雪幻

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――― 「美味しかったです、ご馳走様」 「おう!また来なよ」 すっかり顔馴染みになった亭主と言葉を交わしあい、引き戸を開けて暖簾を潜る。 「げっ……また、雪降ってるよ」 店の外で僕たちを迎えたのは、次から次へとひっきりなしに降って来る大ぶりの雪だった。 「これ…絶対に朝までに積もるな……」 僕は忌々しげに足元を見て吐き捨てた。 明日の朝一の雪掻きが憂鬱で仕方がない。 どうせ車は雪に埋まっているから、まだ外が暗いうちから発掘作業をしなければならない。
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