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パソコンをパチンと閉じて左条さんが片付け。置いておけば私がやるし、店の後片付けだって自分の分担が終わればさっさと帰っても構わない。そうずっと言って来たし、イケヤさんも真歩さんもそうしている
言葉の上で対等でいたいと言っておきながら、私をカバーする事に自分を費やしているのだ、彼は
可愛いです。ずっと、可愛かった
左条さんが何と言おうと。ショーゴさんが思い出になってしまった頃よりもずっと、最初の方から
健気で努力家で私に大まかなところ忠実だ。口はうるさいけれど
弟がいたらこんな感じだろうか、とか、イザと言う時はやはり守ってやりたい、とか、ようするに
ずーっと、彼と恋愛を私の中で結び付けた事などなかったから、億劫なのだ
…関係なんてこのままで良いでしょう。10年前の事を律儀に守って私を思ってくれる理由など
そこまでして貰える程、あなたに親切にも、特別可愛かったって必要以上に優しくもしてあげていないよ、左条さん
2度目の恋にしたとしても、荷が重すぎる
「左条さん、先に帰って良いですよ」
「…」
本当に帰って良い、と取れるニュアンスで肘を付いて左条さんを見る
カウンターに行こうとしていたのだろう、背中しか見えない左条さんは立ち止まった
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