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「でも俺は最初からあなたが好きだし、その考えは何の解決にもなりません。残念ながら」
「………私の何が?私はそれ程、あなたに長く思われる程綺麗な姿を見せたりなどしていない筈です」
「きっかけは顔です。泣き顔」
「な…」
泣き…
「メチャクチャに泣き崩れてる後ろ姿はみっともなくて情けなくて、良い大人が失恋くらいで泣き過ぎだろと思っていました」
「止めて…」
「泣き止むのを待って振り向いたあなたは、想像通りぐしゃぐしゃでした」
「も、そんな昔話止めて下さい!」
余りの恥ずかしさに握られっぱなしの手を振り解こうと強く振っても、指の絡まりは解けやしない
「こんなに人を真剣に思えるものかと素直に感心して、親父が羨ましくなった。だから妻子持ちのだらしない中年より、俺にしておけば良いのにと思いました」
「…」
「本当に、本気だったんです。あれでも、…子供なりに」
左条さんもその時の自分を思い出したのか、空いてる手で口元を隠す
言ってて恥ずかしがってりゃ、あなたもまだまだ子供ですよ左条さん…
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