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男性が三人、並んで座っている。
「あ~タバコ吸いたいけど、ここ禁煙だもんな……吸っていいかな」
「旅館の横に喫煙所あったろ? 吸いたきゃ戻れよ」
「はいはい。んじゃ、俺先に行くわ~」
「戻る? んじゃ俺も戻ろうかな。水石は?」
「もうちょっと涼んでく。先行っていいよ」
「りょうかーい。迷子になるなよ」
「あははは。なるかよ」
帰ろうとしている二人とすれ違った。
俺達の後から来た団体さんかな?
なんとなく会話の声とその名前が気になって、一人東屋に残っている人物に目を向けた。
あ……やっぱり。
その姿は見覚えのある人物だった。彼、水石潤とは高校の時の同級生だった。と言うより、友達。
……と言うより……。
ずっと仲は良かったけど、進路が違って……文系だった潤君は経済学部がある大学へ進み、俺は専門学校へ進んだ。
そっからはたまに連絡とかもしていたけど、いわゆる自然消滅? あれ? 友達でそういう言い方って変かな?
つまり、六年ぶりの再会ってわけだ。
俺のこと覚えてるかな?
そんな僅かなドキドキを隠し、丸太に座っている潤君へ近づいていく。その横にさりげなく腰を下ろした。
「ひさしぶり」
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