KISUMI

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「どうなのよ、自覚はあるんでしょ? ペンダントにかこつけて、本当はこっちをアタシに相談したかったんじゃないの?」 「勘弁してくれ」 「けどビックリよね、あんたにその筋の才能あっただなんて。この際だから、もう男らしく認めなさいな。何とも無いなら、隣で男の子が寝てたって気になんないでしょうに。要は、タッチャッタんでしょ?」 「お、おま、おまえなっ! バカか、タツわけなかろう!」 「誤魔化さないの。アタシの目が節穴だとでも思う? 嫁が出て行ってから随分ご無沙汰な癖に。正直にお言い、タチましたって」 「タ……、いや、マジ勘弁しろ……」 倍の次は立つ? 何が立ったって? ちょっと話の内容についていけないけれど、二人の表情から察するに愉快に冗談を言い合ってるんじゃなさそうだ。 だったら尚の事、こんなとこで盗み聞きの真似事なんかしてられない。 タイミングがどうとか言ってないで、動くなら今だ、今すぐ立つんだ僕。 でもなんでだろう、足がカクカク震えてる。 腰が抜けたみたいに力が入らない。 いやいや、そんなこと言ってる場合じゃないんだってば。 僕は植木鉢の縁に手をついて、何とか体を引っ張りあげてその陰から出た。 「オハヨウゴザイマス、マミサン」 ちょっと声が裏返った。 足といい喉といい、なんか変だぞ僕。
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