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酷い頭痛だった。
頭の中で重いハンマーが飛び回って暴れているような、耳元で巨大なドラが狂ったように連続で打ち鳴らされているような、脈動に合わせて何度も何度も頭が爆発しているような。
このまま死んでしまうのではないかと思う、激痛だった。
両手で頭を抱え、歯を食いしばり、本能的に腰を屈めて小さくなって、一体何分堪えただろう。
やがて呼吸をするのも辛いほどの痛みは、唐突に収縮し始めた。
ハンマーはちっちゃな釘くらいになり、ドラはカスタネットになり、爆発は収まった。
僕は詰めていた息を、ほっと吐いた。
曲げていた腰を伸ばし、まだ少し痛む頭を気にしながら体を起こす。
さっきまで気づかなかった鳥のさえずりが聞こえる。
陽射しが暑いことも、気持ちのいい風が吹いていることにも、初めて気がついた。
よほど周りが見えていなかったようだ。
改めて辺りに視線を巡らせると、見覚えのない公園の真ん中だった。
……見覚えの、ない?
僕は焦って記憶をたどる。
そしてもうひとつ、大変なことに気がついた。
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