君が笑ってくれるなら

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「ケチ! いいじゃない、いつものことなのに」 「ケチじゃねぇよ、だから何の用だよ」 「だから昨夜ね、若頭がうちの店に来て、きっちり落とし前つけさせたからあいつはもう二度と現れないって、そう約束してくれたのよ。それを、あっちゃんに伝えに来たんじゃない」 「……そうか」 そっけない返事だけど、声の調子からものすごくほっとしてるのがわかる。 僕も大きく安堵の息を吐く。 よかった。 あの若頭の言う『落とし前』っていうのがどういうものか考えたくはないけど、とにかくもう店に来ないならそれでいい。 もうあの件には関わりあいになりたくない。 「ま、今回のことは、ちょっとはアタシにも責任あったわけだしね。この貸しは、無しにしといてあげるわ」 「恩になんか着ねぇぞ」 「どうだろ、この態度。ちょっと下手に出たらすぐこれだもの、可愛くない」 「おまえに可愛いと思われる方が気色悪い」 「言ってくれるじゃないの。ふふん、ねぇ奏ちゃん。私、知ってるのよ」 「何をだ」 「あんたの様子がおかしいと思って、あの後調べたのよ。花言葉。乙女のたしなみですものね~」 「うん? おまえ、何の話をしてるんだ?」 「ほほほほ、まぁあんたみたいなトーヘンボクが、そんなかわいいことに興味があるとは意外だったけど。お店にある観葉植物、みんな花言葉で選んでるのかしらぁ?」
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