人の心は

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「大好きです」 「俺のことが?」 俺は生まれて初めて告白された その子はとにかく可愛かった 瞳の奥底は涙がこぼれそうで でもそれがとても輝いて見えた 「俺、君の名前も知らないよ?」 「知ってます。話したことすらないですもんね」 ほんとに名前は知らなかった でも俺は 今告白されてとても嬉しく思ってる いや違う 多分恋をしたんだ この子に この瞳に 俺はまさにいま恋をした 「付き合ってなんていいません、でも気持ちだけでも伝えたくて、私明日転校するから」 「え…」 俺はいきなり声が止まった 何を言おうとしたのかすら 思い出せなくなった 「私あなたが好きです、話せて幸せでした、すいません失礼します」 彼女が後ろを振り返ろうとしたところを つい腕を掴んでしまった そして顔がこちらに向いたとき さっきの涙がこぼれそうな瞳とは違う 目はつぶっているのに横から滴が落ちている 「どう…して」 彼女は涙を流しながら そう言った 「君のことまだ知らないけど付き合いたい」 「ほんとに…ですか?」 「うん、君が好きだ」 おれは告白を仕返した ここで言わないと もう二度と会えないと思った この子の瞳に引かれ そして恋をした
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