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サロメ
「ダメダメ!恋だ恋。恋に狂って
首が欲しくってたまらない踊りだ。なんだそれは!仕方なく踊ってるぞ!
ミッシェルお前はカカシだっ!」
ラファエルの爆弾が飛ぶ度に、ウリエルの指揮が止まる。
良はベールを手に持て余し、ヨカナーン役のスチュアートは困った顔をしている。
サロメに恋する王役のフィリップは逆に良を殺してやりたい構えだった。
「ミッシェルの辞書には色気という文字は皆無である」
伊藤がつぶやく。
「純!見本をみせてやれ」
純はコミカルに王を誘惑する舞を踊った。
「ふざけるな!サロメ!アントワーヌ」
壁にもたれ掛かり、もの思いに耽っていたアントワーヌは一瞬で我に返り、驚きの表情をうかべた。
「30分の休憩をする。アントワーヌ衣装をつけろ。ヨカナーンは良。サロメに恋する兵士はアラン」
良はドキドキした。
夢が叶った瞬間だったが、アントワーヌは顔が青かった。
アントワーヌは楽屋のドレッサールームで、サロメの衣装を手にする。幸い、衣装は露出がほとんど無いものであった。
アントワーヌは覚悟を決めて、サロメのメイクにはいった。
アラビア風にアイライナーを引き、真赤なルージュをつけた。
そして、髪には手の込んだ飾りをつける。
そして、王を誘惑するベールを見にまとった。
30分後、完璧なまでに青白く美しいサロメに、合唱団全員にどよめきの声があがる。
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