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「あ、そーだったそーだった。じゃあロイド君、喧嘩の続きは後にしようか」
「・・・チッ・・・」
呑気な口調で局長が喧嘩を中断し、ロイドはまだ喧嘩をし足りないと云うように舌打ちをする。
「まあ、コ―ヒ―でも飲みなさい。それでね、真琴君・・・」
「はい」
いつも呑気にしている局長が、いきなり声のトーンを落として言うので、真琴も、コーヒーを飲んでいたロイドもつい真剣になって局長の話を聴いていた。
もっとも、ロイドの方はもうこの話は局長に一番に聞いているのだが。
「プレアデス惑星連邦の方から何度か、地球や火星も加盟しないかって勧めに来る人たち、いるでしょ」
「はい」
「その中にさあ、リコ・フラウって中尉がいたでしょう」
「ああ」
リコ・フラウ中尉と云うのは、局長のいうプレアデス惑星連邦の方からたまに来る使節団のような人達の中にいた、真琴と同い年ぐらいの少年だ。
人形のように整った顔に、地球では見た事のない水色の髪、まるで宝石のように鮮やかな薄青色の瞳という地球では非常に珍しい外見をしていて、初めて見たとき本当に人形だと思ってしまったので良く憶えている。
「それで、そのフラウ中尉がどうしたんです?」
「うん。実はね・・・」
「はい・・・」
ここからだ。ここから本題だ。真琴はそう確信し、局長が次に発する言葉を待った。
「フラウ中尉はだなぁ・・・」
「はい」
何でもいいから早う続きを話してくれんかなぁ。真琴はそう思ったが、口には出さなかった。
真琴のそんな様子を知ってか知らずか、局長はやや楽しそうに言った。
「どこの誰とも知れん連中に、誘拐されちゃった~。」
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