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真琴は愕然とする。
ロイドは深刻な表情を崩さない。
何故、其処まで分かっていて、地球の行政局は保安局本部に突撃命令を出さず、
この件を我々の方に持って来たか。
そんな二人の心の中を見透かすように、局長は続ける。
「我々は元々二十三世紀の宇宙開拓時代初期に、増加していく犯罪者達の横行を防ぐために作られた特殊機密機構の工作員たちが大元の祖だ。
彼等は当初は本当に地球の保安局の後始末係を担っていたが、今から千五百年前にこの銀河系そのものが連邦制になり、連邦軍の機関がその任を担うようになった。
それ以降は火星コロニー・ド―ムに本部を移され、その防衛を任される、単なる諜報特務機関になっている、と地球では知らされている。
だが現実には更に機密中の機密にされ、その後も特殊機構として後始末を任され続けたのだ。
そのため、現在の我々が担っている任務は以前とは少し、違う。
今までは宇宙で活躍を続ける犯罪組織の中で、カテゴリーA以上と認識された、〈地球人達〉に危険が及ぶ可能性があるとされる連中を、〈始末〉するのが役目だった。
けれど今はその役目と共に、連邦軍にとってとても都合の悪いレジスタンスの連中の中で、最も厄介な連中を黙らせる役目を背負っている。
そして、今回の件は連邦軍に取って非常に厄介で、非常に都合が悪く、非常に解決しにくい。
だから我々に任せて自分たちは楽しよう、出来なかったら責任をこっちに被せよう、と云うのだ。
これが解決できれば我々は暫く良い目を見られる。
だが出来なければ責任問題で我々は困る。
分かるか真琴君、この件は我々にとって諸刃の剣だ」
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