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突如、枕元の小型モニターが起動した。
映し出されたのは、
各モニターと直結した司令室。中で十数人の男女が忙しそうに働いている。モニターの前に居るのはかなり整った顔立ちをした人物だ。
年は二十代の前半ぐらい、短く切った金髪に透き通った深い緑色の目をしている。黒いジャケットを着ていて、襟の所に銀色でダイヤ型のピンバッジを点けている。
怒っているのか、やや剣呑な表情をしたその人物は、少年に向かって一言
『起きろ。起きねば強制的に叩き起こさせてもらう。』
しかし、
「ごまぷりん!」
少年は起きなかった。
『叩き起こして、欲しいようだな。』
彼はそう言い、ジャケットの左ポケットから緑色をしたリング状の装置を出し、モニター脇のスピーカーに近付ける。すると突然、
“ビィ ―――――――!!!”
少年の枕元のスピーカーが凄まじいハウリングを起こした。
防音カプセルは外からの音も内側の音も防ぐが、内側の音は内側に大音量で響く。
当然スピーカーから発せられた音の矢は少年の耳に突き刺さり、少年は否応なく目覚めねばならなくなった。
「ぎゃ――――、わかったわかりました、起きます起きますはいはいはい」
少年がそう言うと、ハウリングの音がピタリと止まり、変わりに彼の怒号が飛んできた。
『いつまで寝ている!もう四時半だ―――――――!!!』
「~~―――――――!!!《まだ》四時半でしょうが~~~。それに、なんつー起こし方するんですかロイド大佐。」
『何度も呼んだ。起きん貴様が悪い。それに今、非常事態だ。』
「だからって、こんな起こし方せんでも」
少年がそう文句を言うと、またもや怒鳴り声が飛んできた。
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