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『遅い!もっと早く!』
「無茶言わんで下さい大佐、誰もがあなたみたいに三十秒でコレ全部できる訳じゃないです」
『そうだぞロイド君、誰もが我々と同じだと思うな』
いつの間にか、ロイドの後ろに白衣の人影が立っていた。
灰色のスーツに白衣、黒いスラックスという恰好で、白衣の左胸のポケットには金色と銀色の二つの細長いピンバッジを点けている。
少々癖のある黒髪に、青緑色の呑気そうな目に黒ぶち眼鏡をかけた男性で、口元にはいつも楽しそうな笑みを浮かべた、背の高い痩せた男。
『・・・・・・局長、何時からそこに・・・・・・。』
ロイドが嫌そうな声を出す。
『ついさっきだ。なんだねその嫌そうな顔は。』
局長と呼ばれた男は、何処までも呑気そうな声でそう言った。
「局長、何時地球からお戻りに?」
やや驚いた様子で真琴は訊いた。
『この間。リィザが書類の整理を手伝ってくれたんでね、思ったより早く火星コロニーに戻れた。』
局長は、呑気な口調で言う。
『そう、ですか。
中央本局のヴァン局長は元気でした?」
真琴も、呑気な口調で聞く。
『うん。すっごい元気だった。』
「それは何より。あの爺様が元気なら、当分地球も平和ですね。」
真琴と局長が呑気に話していると、
ロイドが横ヤリを入れて来た。
『真琴!それはいいからとっとと司令室に来い!』
それを聞いた局長が、今気が付いたと云うように言った。
『あ、そうだった。では真琴君、続きは司令室で話そう。』
「はーい。」
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