2人が本棚に入れています
本棚に追加
真琴はそう答えると、モニターのスイッチを切り、部屋を出て、司令室に向かう。両側に幾つもののっぺりした灰色のドアが並んでいる廊下を抜けて行く。
淡い緑色に光る廊下を暫くまっすぐ行くと、突き当たりにまたドアがある。
他のドアと同じようにのっぺりしたドアだったが、そのドアは灰色ではなく、みずいろで窓が無く、エレベーターのように開くようになっている。
真琴がそのドアに触れるとドアは音もなく開き、人が十五人入れば壊れてしまうような狭い部屋が現れた。
壁も床も灰色だが、天井全体が淡い水色に光っているので、部屋全体が淡い水色に染まって見える。
真琴がその部屋に入ると、また音もなくドアが閉まり、ゆっくりと部屋が動き出し、同時に水色の天井からやけにハイテンションな甲高い少女の声が聞こえた。
〈こんにちは。私は火星コロニー全ドームを統率する首脳コンピューター、る―みっく1374で~す。〉
「知ってる」
〈ユーザー名、隊員番号、所属する部署などを言って下さ~い〉
「中央保安局第六課、NR‐33641847‐130、廣瀬真琴」
真琴は、やや面倒くさそうにコンピューターに答えた。
すると、何故かコンピューターはとても嬉しそうな声を上げた。
〈了解、認識しました。
・・・きゃ~、まこちゃーん、ひっさしぶりーぃ〉
「・・・あ゛~、久しぶり~。」
コンピューターの、ただでさえ甲高い機械合成の声をますます甲高くされ、真琴は殆どげっそりしている。
最初のコメントを投稿しよう!