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〈きゃーきゃーまこちゃん、いつ火星に戻ってきたのぉー?〉
「昨日だよ、相変わらず賑やかだなあ」
相変わらず騒がしいコンピューターだなぁ、と思ったが、それを言って彼女にへそを曲げられると、コロニ―中の全電気系統が停止してしまうとまた厄介な事になるので、それは言わないでおいた。
〈それで、今から局長に報告?〉
「うん。だからこのエレベーター、司令室にお願い。」
〈りょ―か―い〉
コンピュ―タ―は楽しそうにそう言った。
それと同時にエレベーターはがくんと停まり、今度は横に移動し始めた。
それから暫く右に行ったり左に行ったりしていたが、やがて行く先を定めたように、まっすぐ上に向かい始めた。
それから暫くエレベーターはスイスイ上に昇っていたが、ある所でまたがくんと停まったため、真琴はよろけそうになった。
〈司令室のまん前―。〉
コンピューターが間延びした声で言い、ピン、と音がしてドアが開いた。
(おおっ、もう着いたのか。こういうとこは迅速なのも相変わらずだ。)
真琴は少々、この口数の多いコンピューターを見なおした。
〈行ってらっさい。大佐と中尉、局長にもよろしくね。
行ってらっさい、行ってらっさい、行ってらっさい…。〉
そう言って、コンピュータはしん、と黙った。
(・・・しかしやっぱり、この口数の多いのは、何とかならんかな~。)
そんなことを考えながら、真琴はエレベーターの狭い部屋から出た。
暗い廊下を横切るように歩くと、後ろで音もなくエレベーターの扉が閉まった。
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