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グッと泣き出しそうになるのを我慢し、覚悟を決めた。 「思い出したんですか?」 「まぁ、あの時のことだろうというのは。 ……聞きたいか?」 鼓動が跳ね上がるのと同時に痛みが突き刺さる。何を言われるか不安でいっぱいだ。 それでもここまで聞いたんだ。首を縦に頷いた。 「築島がどう脚色して君に言ったのかわからないが、多分それは好きなタイプの異性について話した時の事だろう。 あの時は時間だけは無駄にあったせいか、何でもない話でもよく語っていたから」 ズキズキ…っと、胸が痛くて苦しい。この二人にしかない思い出の話を聞かされるのは、まだ私には覚悟が足りなかったみたいだ。 しゅん…と項垂れた私のこめかみ辺りに柊さんの声が聞こえてきた。 「琴、君は自分の中学生の時の容姿を覚えているか?」
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