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「……中学生?」 中学生といえば柊さんと出逢った時の私だ。あの頃の私…?どうして? 「あの頃はこんな豊かな物なんかなく、まだ幼い面影が存分に残っていたな」 下から持ち上げるように胸に添えられた手。「ひゃっ」っと色気のない声を出してしまった。 「だってまだ中学生になったばかりなんてガリガリで全然女の子らしくない……」 そこまで言ってふと自分の放った言葉に気付く。 柊さんと初めて逢った時は、まだ胸もこんなに大きくなくて、こんなに丸みを帯びた身体じゃなくて、私はか細い体形をしていた。 「俺の中で好きな女の基準は全部、琴なんだ」 柊さんの言ってくれる言葉に、置いてけぼりをくらってただ呆然としている私。 だって、この言い方だとまるで昔の私が好きだったって言っているみたいに聞こえる。
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