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「あの……それは……」 震える唇から漏れる声は小鳥の鳴き声のように小さい。 今言った意味をもっと知りたくて、柊さんを見つめる。 もう身体を離しても自分の身体は気にならなくなっていた。 「そのままの意味だ。だから何を言われても卑屈にならなくていい。俺の好みのタイプは俺自身が好きになった人なんだから」 「……ほ、本当ですか?」 「もう隠し事はしないといっただろ。それに……」 「それに?」 くびれをもっていた手は私の頬をするりと撫で、短いおかっぱの黒髪を手で確かめるように何度も掬う。 今日もきちんとチェックはしているから何もついていないはず。 そして柊さんは気恥ずかしそうに私にこう言った。 「俺も初めて好きになった相手は琴、君だ」 ふわりと柔らかく微笑む柊さんから、信じられない言葉が聞こえてきた。
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