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「えっと…あの、それは……」 助け舟を出してほしくてチラリと柊さんへと視線を送るけれど、素知らぬ顔をしてとっくに仕事を始めている。 「ねぇ、どうなの?今、結構噂になっているのよ、あなた達。誰にも言わないから教えて?」 この”誰にも言わないから教えて?”の言葉にこの一週間、どれだけ騙されてきただろう。 柊さんにも、 「何でもかんでも馬鹿正直に答えるから、そんな目に合うんだ」 っと言われてしまった。だから、こういう時の対応の仕方も彼にバッチリ教えてもらっている。 「えっと...すみません。ここまで噂になるとは思わなかったんです。ごめんなさい、これ以上言っちゃうと怒られちゃうので。では、失礼します」 ペコっと頭を下げ、その場を素早く脱出した。 余計な事は言わないのが一番。後ろで騒ぐ先輩達3人の声を聞きながら、私は自分のデスクへと戻った。
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