初恋の香り2

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その柊さんは営業課の人達と会議室で打ち合わせ中。確か午前中に終わると言っていたから、このチェックは午後の業務の間に見てもらおう。

もうすぐお昼の休憩になるから、デスクに散らばった自分の私物を整理していく。
まず手に取ったのは、今回の資料を作る時も大活躍してくれた、あの書店で柊さんに譲ってもらったこのマーケテイングの参考書。

……懐かしいな。あの時、偶然あの書店で会ったんだよね。
あの時はまだ柊さんには嫌悪感しかなくって「げっ」なんて言っちゃったりして。

「ふふっ。懐かしい」

その頃を笑い話に出来る日が訪れるなんて、あの時の私じゃ考えられなかったな。
そんな事を思いながら、参考書はブックスタンドに、ペン類はペン立てに戻し、USBはすぐに渡せるようにプレゼンの資料関係を入れてある赤のクリアファイルの奥に入れた。