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「本音は家に帰ってからでもチェックしたいところだが、家ではあまり色気のないことはしたくないからな」 なんて事を言っている声が聞こえてきた。 「なっ…!!」 勢いよく頭を上げたいところだけど、そんな事をしてしまったら柊さんのこの端整な顔に頭突きをしてしまう事になる。 精一杯、下を向いて我慢した私は視線だけを上に向けると、チラリと垣間見えたのは家でいつも見る”恋人”としての彼の顔だった。 もう…ズルイ。あんな顔をされたら何も言えなくなる。 目を泳がせて「明日よろしくお願いします」と同じ事を二回言ってしまった事を後悔しながらも、USBが入った赤のクリアファイルをデスクの引き出しに入れた。 それから出かける柊さんを見送り、私もお昼の休憩に出る事になった。
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