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「あそこの取引先、ワンマンで有名なんだよ。こっちがいくらいい企画を捻り出しても、自分らの思うとおりの企画を出さなきゃ絶対に首を縦に振らない。
だから、自分らで企画部を作ればいいのに、失敗した時に責任を負いたくないからこっちに面倒な事を任せるっていう超我儘企業様なんだよ。
担当になったやつ、可哀相にな」
同情の乾いた笑いを含みながら教えてくれた吉沢さんの情報に、私はモヤっとするばかりだ。
どこにでもそういうトラブルを起こす人って必ずいるんだな…
最近、心当たりがあるせいか少し気分が暗くなってしまった。
「ははっ。御坂さんは気にする事ないぞ。まだまだそんな企業の担当なんかにはならないからな」
「あっ…は、はい…」
吉沢さんは私の不安を見抜いてくれたのか、笑ってその場を和ませてくれた。
私は笑顔を作り、さきほど言われていた物を渡そうとクリアファイルに手を入れた。
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