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「……あぁ、享楽商店の部長さんね。あの人とトラブルでもあったの?」
私が向かおうとしていた先を見つめ、淡々と言葉を並べてくる築島さんの声は無視をするけれど、急いでいるせいか上手く資料を拾えない私は一人で冷や汗を掻いて慌ててしまっている。
そんな私を見かねて築島さんも拾うのを手伝いだしてくれた。
「ここは私が拾っておいてあげるから。享楽商店さんに用があるんでしょ?先に済ましてきて」
ピタ…ッと私の手が止まる。普通なら有難い申し出だ。
……でも、相手は築島さん。出来る事ならこの人に借りを作りたくはない。
「だ、大丈夫です…」
「でも、あの人のご機嫌を損ねると後々面倒よ。自分のせいでせっかくの取引を台無しにしたくないでしょう?
大丈夫、ちゃんと拾っておいてあげるから」
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