5015人が本棚に入れています
本棚に追加
築島さんと我儘重役を交互に見つめた。
もう、重役さんはエントランスまであと少しというところ。そこから社用車に乗られて帰ってしまっては追いかける事は不可能だ。
「ほら、早くしないと行ってしまうわよ。それもあなたのお仕事でしょう」
ニッコリと綺麗な笑みを浮かべて私からクリアファイルを取り、そこに資料を入れ始めた。
築島さんがUSBを拾い上げたところで、私は立ち上がる。
「……すみません。すぐに戻ります」
「…えぇ、頑張ってね」
この人に借りを作りたくない。本当に作りたくないけれど、でも販促課のためならしょうがない。
そう思い込ませて私は重役さんを追いかける。
後ろでは築島さんが立ち上がった気配を感じながら、私はエントランスへと駆け出した。
最初のコメントを投稿しよう!