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「あ、あの…っ!すみません!!待って下さい!!」
ビルに入ってくる社員達とは反対に逆走しながら享楽商店の部長を呼び止める。
部長は私の方を振り返り、気難しい顔をしていた。
その顔に内心おびえながらも、先輩社員から渡されていた封筒を部長に差し出す。
「……何かね」
「あの…ウチの者がどうしてもこの企画書を享楽商店様に目を通して頂きたいと強く希望しておりまして…
本当、お時間があるときでいいんです!どうかお願いします!」
まるで賞状を受け取る時みたいに下を向いてしまった私。
そしてその時気付いた。
今日の服…鎖骨より下までくっきりと出ている緩いカットソーを着ていたことに。
チラッと上を見上げると、やはり部長はしっかりと私の胸元を見ていた。
一緒にいる享楽商店の社員も。
あの先輩社員が私に届けさせたのがこれが狙いだったのだとしたら、とても不愉快だと思った。
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