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でも、我慢しなきゃ…今の私に取引先を上手く言い包める話術なんて持ち合わせていないんだから。 まだ差し出した封筒を受け取らないところを見ると、まだ部長は胸を見ているのだろうか。 あぁ…嫌だ、本当に嫌。 半分嫌気が差してきたところで、私の背後からあの人の声が聞こえてきた。 「失礼します。山下部長、そろそろ次のスケジュールが迫ってきているのではありませんか? さきほどお話させて頂いた時、次はとても楽しい所に行かれるとか…そう仰られていたようにお見受けいたしましたので…」 顔を上げ後ろを振り返る。穏やかな口調でこの場の緊張を崩してくれたのは、他でもない築島さんだった。 「おぉ、築島さん。いや、まぁそうなんだが。この彼女がどうしてもと私を引き止めるのでつい…」 私にも築島さんにも鼻の下を伸ばしている部長…山下部長っていうんだ。 築島さんが呼ぶまで名前も知らなかった。
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