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築島さんは私の両肩に手を添えて私を起こしてくれる。
そして渡すはずの封筒を手に取ると、山下部長の胸元にそっと添えた。
「この子はまだ新入社員でまだまだ何も知らないんです。ここは彼女の頑張りに免じて持って帰ってあげてはくれませんか?
渡しに来ただけなのに受け取ってもらえなくて、部署に持って帰って怒られるだなんて可哀想ですもの」
完璧に山下部長は築島さんの雰囲気に嵌ってしまっているよう。
笑顔を絶やさない彼女に釣られて笑っている山下部長は「しょうがないかぁ」っと言って、封筒を持ってそのまま帰って行った。
「ありがとうございました。お気をつけて」
「あ、ありがとうございましたっ!」
お手本のお辞儀をしている築島さんの後ろで私も慌てて頭を下げる。
車が出発したところまで見送ると、築島さんは私の方に振り返り今度は赤のクリアファイルを渡してくれた。
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