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「それともまた会社で嫌な事でもあったか?」 柊さんは飲んでいた珈琲をテーブルに置きながら私の様子を伺ってくれる。 私は朝食のハムエッグのハムを頬張りながら、昨日の事を思い出していた。 柊さんには昨日築島さんに助けてもらった事は報告していない。 言おうかどうか迷った。 だって柊さんはこれからは何も隠さないって私に言ってくれたのに、私は何も言わないままでいいのだろうか…っと、ずっと迷っていた。 これがきっと吉沢さんや他の社員さんに助けてもらった事ならば、柊さんにもスムーズに報告をして反省の言葉も述べられたはず。 言えないのは築島さんだからだ。 みっともないライバル心が私の心の中にあるから、どうしても言えないんだ。 「大丈夫ですよ。昨日はちょっと暑かったから早く目が覚めたんだと思います」 両手を自分の方に振り、風を送るジャスチャーをしながら私は誤魔化した。
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