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その行動に胸がじん…っと熱くなるのを感じて、皺になっちゃうと思いながらもネクタイをギュっと握り締めてしまった。 頭上からは微かに笑う声が聞こえてくる。彼からすれば私が今どういう心境なのかやっぱりバレバレだ。 「……柊さん」 「何だ?」 「私……仕事でちゃんと柊さんの役に立ってますか?」 こんな風に問いかけてしまう幼ない自分が情けなくなるけれど、一番認めてほしい彼に一言でも嬉しい言葉をかけてもらったら…なんて、そんな甘えが出てしまった。 言った後、後悔と期待を込めて見上げると頭上に置かれていた手で頭を少し強引に撫でてくれた。 そしてまた微かに笑う声が聞こえると、手が頭から離れる。 「俺が仕事に対してどういう人間なのか一番知っているのは君だろう。 それに琴が努力している姿を一番近くで見ているのも俺だ。琴はこのままでいい」
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