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「……まず、USBの行方だな。俺にプレゼンのベース資料を渡した時はまだ持っていた自覚はあるか?」 そう吉沢さんから問いかけられ、昨日の事を思い出す。 まだ頭が真っ白になっていた私に柊さんは 「ゆっくり思い出しなさい」 っと、優しく諭してくれた。 少し落ち着いた私は、昨日の事を確実に思い出すため深呼吸をする。そして、午後からの記憶を思い出した。 「昨日…吉沢さんに渡した資料の時は…まだ持っていました。それは間違いありません」 「じゃあそれからは?確かウチの社員に企画書を渡すように頼まれて、享楽商店の重役達を追いかけて下まで行ったよな?」 「はい。エレベーターで一階まで降りて、それから……」 そこでふと、胸がざわついた。 エレベーターから出て真っ先にぶつかったあの人…… ぶつかった時、クリアファイルから全てが散らばった事も思い出した。
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